山、粧う

 

「山粧う」は、秋の山が紅葉する様子を表す言葉。

 

初々しい春の山は「山笑う」。

 

青々しくて瑞々しい夏の山は「山滴る」。

 

冬の枯れた山は「山眠る」。

 

それぞれの季節をめぐり、まるで生きているように山の表情を例えたこの言い方は、郭熙という中国北宋時代の画家の言葉に由来しているんだそう。

 

日本では平安時代にあたる北宋時代に活躍していた郭熙は山水画を代表する宮廷画師で、中国山水画史上最も重要な山水画家。

 

郭熙の代表作は「早春図」というものだそうで、調べてみたら水墨淡彩図の最高峰とのこと。厳寒の冬が過ぎ去り、春を待つばかりの岩山と人々の暮らしの様子がダイナミックに描かれています。道具がまだまだ発達してないためにそのまま描くことができない時代でも、眼に映る鮮やかさ以上の迫力が伝わってくるような作品だと感じます。

 

「山粧う」秋の語源は、3つあると言われています。

 

  1. 空の色から由来している説。古文の「空の色清明(あきらか)なる時節」から、それから「あき」という言葉ができたという説。

 

  1. 葉の色の変化に由来する説。秋になれば、紅葉などが赤くなるが、その「あか」が転じて「秋」となったという説。

 

  1. 収穫に由来する説。秋の時節は、穀物などの食物が飽き満ちるほど成る季節から「あき」と呼ばれるようになったという説。

 

3つの説のうち2つが色からくるものというのも、色と共に生きた日本人ならではなのでは。

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