今回の旅は、今年8月にオープンしたばかりのANAインターコンチネンタル別府リゾート&スパと温泉ガストロノミー推進機構が実施する「ONSENガストロノミーウォーキング」がコラボレーションした「Premium ONSEN・ガストロノミーウォーキング in BEPPU」。歩きながらその土地ならではの食を楽しみ、 歴史や文化を知る「ガストロノミーウォーキング」に「温泉」をプラスした新しい旅のスタイル。「めぐる」「たべる」「つかる」の3つの軸を掲げています。
このツアーに参加するまで全く知らなかったのですが、一般社団法人・ONSENガストロノミーツーリズム推進機構は2016年に設立、すでに北海道から九州まで各地方で何度も開催されています。
「温泉地をウォーキングして、温泉につかり、その土地ならではの食材をいただく。ゆっくりと歩く目線でその地域の景観や自然を体感する、それが「ONSEN・ガストロノミーツーリズム」。温泉地を単なる「温泉を楽しむ場」としてだけではなく、滞在型・体験型の観光の宿泊拠点ととらえ、国内のみならずインバウンドにも提案します。この動きをを通して温泉地の魅力を引き出し、多くの方に体験していただくことで、地域を活性化させていくことを目指している。」のだそう。(サイトより)
地球環境を見据えつつ、日本を活性化する仕事をしたいという想いが湧き出てきたその時から、その地方に足を運んでもらえる仕組みを作りたいとずっと想ってきました。小手先だけの町興しではなく、ネガティブなことも含めてその土地の真の姿を軸に、コミュニケーションの形を深く探り、あるべき方向に進化させていきたい、そう思います。
さて、今回私たちは、ガイドさんと共に源泉数・湧出量が日本一の温泉地、別府の源泉のなりたちと源流をたどりつつ、数カ所のレストランにて別府の素材を生かしたお料理をいただきました。
驚いたことに、別府の街は至る所で温泉の蒸気が噴き出しています。あまりに強力なので、力を発散させることで抑えている場所もあるそう。今から1000年以上前には、もうもうと沸き上がる噴気や熱泥、熱湯などで近寄ることが出来ない場所だった別府。危険であると忌み嫌われ、「地獄」と呼ばれるようになったそう。
その地獄という名前が今にも残り、海地獄・血の池地獄・竜巻地獄・白池地獄が国の名勝に指定されています。地獄めぐりとは、それらの温泉地を巡る定番コースのようなもの。今回は回りませんでしたが、町を散策するだけでも地獄と呼ばれる所以を想像することができます。
なぜ地獄と呼ばれるこのような危険を孕む土地で生活を始めたのか、疑問さえ浮かびます。ガイドさん曰く、温泉地はビジネスになるからと危険を覚悟でこの地に移り住んできた人も多くいたそうです。貧しい時代に土地の安全性と生活は紙一重だっただなぁと、必死で生きる人たちに想いを馳せながらどんどん歩く。
町中に石垣があるのですが、それも噴火の際にものすごい量の石が降ってきて、やり場に困って石垣として積み上げて整理した、と。今となってはそうは見えないのですが、地球に住まわせていただいているというのを再認識しながら、湧き上がる蒸気の中大地を踏みしめて歩きました。
このツアーは、選ばれたレストランやホテルももちろん重要なのですが、ガイドさんに掛かっていると言っても過言ではないと思います。なぜなら、今回のガイドさんたちは土地の魅力に取り憑かれて移り住んできたツワモノ揃い!別府愛が深すぎるので、話がマニアックでおもしろく、たくさんの情報をくれるので飽きることがありません。「温泉地の男性は働かないで飲んでばかりだからやめた方がいいよ!」なんてアドバイスも。笑
昔は温泉地というと療養のために長期滞在する人も多く、素泊まり温泉宿の入り口には地獄釜があります。各自で素材を買ってきては温泉の蒸気で蒸したものをいただく、という習慣があり、地獄釜セットといって野菜と肉などがセットになっているものを販売している八百屋なども多くあったそう。利用についてのこの看板は、かつてどんなものが主に食べられていたかを具体的に想像できて、よりリアルに感じることができて色々と覗かせてもらいました。
外資系のホテルが鳴り物入りで絶景にホテルを建築することは、地元の人にとってみたら嬉しいことではなかったのかもしれません。でも、今回の「Premium ONSEN・ガストロノミーウォーキング in BEPPU」のような取り組みは、その土地をよりよく知ってもらうことや、お金を落とすことで活性化にもなるので、共存しようと歩み寄ってくれるのはとても嬉しいこと。
ANAインターコンチネンタル別府リゾート&スパの内装も、別府石や竹細工などをふんだんに取り入れていて、その土地ならではの雰囲気を醸し出しています。
かつて「湯治場」と呼ばれていたこの別府地域のローンチを再び広め、多くの人に改めて湯治の習慣に触れてもらい、新しい理解とコミュニケーションが生まれたらいいですよね。なにかお手伝いができないものかとワクワクした、はじめての地獄でした。