じつ。

11月末にははじめて八女茶の生産地である星野村を訪れ、お抹茶製造工場を拝見させていただきました。きちんと衛生・温度管理がされた部屋の中でたくさんの石臼が回っている様子を見た時は、ただただ圧巻の一言。

 

 

 

 

見学をさせていただいた星野製茶園では抹茶はもちろん、抹茶を使ったスウィーツにも力を入れていました。高級ベルギーチョコレートを使用した抹茶チョコレートは、最高級の「茶審査技術十段」の資格を持つ山口さんの渾身の力作。実際、どんな高級チョコレートブランドが出しているものより遙かに上をいく、想像を超えた美味しさでした。

 

 

 

 

その時、まさかお抹茶がこんなにもひどい問題に直面しているとは思いもしませんでした。

 

 

 

 

 

 

 

 

日本茶に惹かれもっと深く知りたいと思っていたところ、「宇治抹茶問屋4代目が教える お抹茶の全て 桑原秀樹著」に出会います。煎茶より抹茶の方が品種などいろいろとコンパクトだろうと思い、まずはここから勉強してみようと軽い気持ちで読んでみることに。

 

 

 

 

 

 

抹茶といえば、原料である碾茶を茶臼で挽いたものと思われるかもしれませんが、本当にそうでしょうか?

 

 

 

 

 

 

 

衝撃の言葉でスタート………

 

 

 

 

 

 

日本には「抹茶生産量」の時計がないので、数量を知ることはできないとのこと。推計を含んだ各地の生産量によると、2018 年の生産量は3,660トン。これは30年前の5.6倍、50年前の役10倍という数字だそう。

 

 

 

 

日本人のお茶離れが懸念されていると聞いていたけれど、こんなに伸びているというのは、そうでもないということなのか世界的抹茶ブームが桁違いなのか。どちらにしても、悪いことではなさそう。

 

 

 

 

と思ったのですが、「抹茶生産量(加工用抹茶を含む)」は約7,000トンとあります。

 

 

 

 

 

 

2018年度の碾茶全国生産量(推定)は3,660トンですが、これは荒茶の数量です。茎や葉脈など、抹茶に挽けない部分をはずして仕立葉にするとおよそ2,800トンになります。つまり、7,000トンの抹茶生産量のうち2,800トンは碾茶よりできた抹茶となります。それでは、7,000トン引く2,800トン=4,200トンの抹茶はどんな原料からできているのでしょうか。

 

 

 

 

 

 

驚きました。どの業界でも、知れば知るほど同じようなことはあるのかもしれない。知識の薄い消費者に分かるような記載がなければ、そのまま過ぎていってしまうことかもしれません。もちろん、記載されていたとしても知識がなければ、全く同じこと。

 

 

 

 

 

「豆腐」と「充填豆腐」のように、原料の濃さや生産過程が違うということで甲乙付けられているということなのか、それとも全く違う原料で作られた偽物なのかによっては大きく違う。同じ売り場に類似品のように並べられていたら、一体どれだけの人が、安売りなのか原料の使用量が少ないのかを理解して購入しているのでしょう。

 

 

 

 

 

農林水産省が発表している「作物統計」の茶種別荒茶生産量統計の茶種には「煎茶」「番茶」「玉露茶」と「その他」というものがあります。「その他」の内訳は、「紅茶」を除くと、「モガ」と「秋碾茶」という加工用抹茶の粉砕原料だそう。

 

 

 

 

 

そして、この本の中で、著者が調べた各府県の資料や聞き取りと計算によると、「碾茶」「モガ」「秋碾茶」以外の緑茶が残り2,000トンほどあることに。

 

 

 

 

 

 

「碾茶」以外の原料から製造された粉末は、本来なら「粉末茶」と表示して流通販売させなければいけませんが、現実には「加工用抹茶」「食品用抹茶」「工業用抹茶」と表示されて販売されています。つまり、抹茶業者以外の人は、「食品用抹茶」「加工用抹茶」も抹茶であると誤って認識していることになります。世間で流通している抹茶のうち60%は、本来の意味での抹茶ではありません。

 

 

 

 

 

60%ってかなりの確率ですよね。

 

 

 

 

 

何を持って「抹茶」とするか、ということが重要ですし、この基準によりいろいろと変わってきます。ただ、嘘と言われても仕方がないような記載は、良くないのではないかと。グレーゾーンはグレーゾーンなりにきちん明記できる名前を付けてあげたら良いのではないかと思うのです。

 

 

 

 

 

私たちには、口にするものが何でできているのかを明確に知る権利があると思うのです。もちろん、それには理解するための知識を身に付けることが必要となりますが。

 

 

 

 

どうやら安価な菓子類は抹茶の含有量を極力減らし、または全く使用せず「その他」と着色料や香料などでできているようです。

 

 

 

 

こんな記事も見つけてしまいました。

 

 

 

 

健康ブームの影響もあってか、緑色がヘルシーなイメージの抹茶アイスクリームをはじめ、抹茶風味の菓子類などが人気です。

そのグリーン色の正体は、なんと蚕の幼虫が食べ残して消化できなかった桑葉と蚕糞からなる「蚕沙」と呼ばれる着色料なのです。蚕の幼虫の糞を乾燥させ、中に含まれる葉緑素、すなわちクロロフィルと銅を結合させると、銅クロロフィルという緑色の着色料になります。抹茶のアイスやお菓子があんなに鮮やかな緑色をしているのは、この着色料を使っているからなのです。

蚕沙は肥料や家畜の飼料としても有用で、薬効成分が高いことから、昔の漢方の生薬としても重用されていました。そのため、安全性の面で問題はないと考えられますが、抹茶アイスが蚕の糞で着色されていると知ったら、食べる気が失せる人もいるでしょう。

−TABILABO(食品に隠された衝撃の事実)

 

 

 

 

 

確かに衝撃の事実!

 

 

 

 

 

「先人たちが作ってきた伝統のある食材だからこそ、きちんとした形で受け継いでいかなくては。」星野製茶園の山口さんは、SNSで熱く綴っていました。語るだけでなく、試行錯誤して作られた自信作が全てを表しています。

 

 

 

 

星野製茶園のチョコレートは、1枚756円と少々お高いです。でも、偽物をなんとなく口にするより、本物をありがたく味わって食べる方が自身の感覚も育つのではないかと。

 

 

 

 

日本茶のことをもっと知りたいと思った好奇心がまずぶつかったのは、あまり知りたくない事実でした。でも、知ろうと思わなければ知ることができなかったことでもあるので、受け止めてまた掘り下げていこうと思っています。

 

 

 

 

 

 

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